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一般演題
14 脳リンタンパクの研究(II)—顆粒結合性のphosphoprotein kinaseとリンタンパクの反応について
Studies on Phosphoprotein in Brain (II) On the Reaction of Particle Bound Phosphoprotein Kinase and Phosphoprotein
松井 英男
1
,
織壁 永次
1
,
石川 晋次
1,2
,
島薗 順雄
2
Hideo Matsui
1
,
Eiji Orikabe
1
,
Shinji Ishikawa
1,2
,
Norio Shimazono
2
1東京大学医学部生化学教室
2東京大学医学部脳研究所生化学
1Dept. of Biochemistry, Faculty of Medicine, University of Tokyo
2Section of Biochemistry, Institute of Brain Research, Faculty of Medicine, Unversity of Tokyo
pp.641-648
発行日 1964年7月25日
Published Date 1964/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904127
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I.緒言
細胞内リンタンパクのリンの代謝活性が高いことがDavidson等1)によつて指摘されて以来,リンタンパクの生理的役割については長い間不明のままであつたが,脳切片に電気刺激を加えるとリンタンパクリンの代謝回転が高まるというHeald2)3)の報告や,膜構造に関係したリンタンパクリンの代謝回転がNa+,K+イオンやouabainにより影響されるというJudah等4)5)の報告にも見られる如く,近時細胞リンタンパクはNa+,K+イオンの活性輸送の坦体に擬せられて新たな研究の興味を引くにいたつた。しかるにこの細胞リンタンパクのリンの代謝回転の様式に関する酵素学的レベルでの検討はきわめて不充分であり,細胞リンタンパクの生理的役割について論ずるためには,まずそのリン酸代謝の酵素学的検討と,リンタンパク自体の化学的属性の研究が必須である。
先に私達6)7)は脳の無細胞系で顆粒結合性のphosphoprotein kinase(PPK)の存在と,AT32Pからリンタンパク分画への急速な32Pの組み入れ,及び32Pのacceptorとしてのphosphopeptideの分離,精製とその特性の一部を報告したが,今回は,この顆粒結合系の反応と,可溶性とPPKカゼイン及びホスビチンを用いた可溶系の反応とを酵素学的に比較して興味ある結果を得た。
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