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特集 第5回神経化学懇話会
一般演題
1.分離神経細胞に関する研究—分離法
Studies on the isolated nerve cell method for preparation
浜中 昭彦
1
Akihiko Hamanaka
1
1大阪市立大学医学部神経科教室
1Dept. of Neuropsychiatry, Osaka City University Medical School
pp.793-798
発行日 1963年8月25日
Published Date 1963/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904067
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緒言
脳髄が組織学的にみて非常に多種の神経細胞および神経膠細胞からなるheterogenousなorganであることは周知の事実である。従つてそれらの個々の細胞の生化学的特性を明らかにすることは脳の代謝と機能を考える上に極めて重要なことであろう。
文献によれば神経組織について特定の細胞を比較的純粋な形でとり出そうとする試み,あるいはとり出した上でその化学的組成や酵素活性を測定しようという試みはいくつか挙げられる。例えばThomas15)は蝸牛後脳の大型運動ノイロンをGremough顕微鏡下で分離した。彼は0.2%の割合に10%無水塩化カルシウム溶液を含んだ0.7%食塩水中で処理すると神経組織の塊りが神経節の結合組織から分れて扇状に並んだ一層のノイロンの細胞層が得られ,位相差顕微鏡下でneurofibrilが観察されると記載した。Chu3)はヒトの脊髄前角から神経細胞を分離した。彼は前角を小片に切りこれを生理的食塩水を入れた試験管に入れさらに10〜15個の小さなガラス玉を加え振盪して細胞浮游液を作つた。これを20%蔗糖溶液(比重約1,060)と馬血清からなる混合液中で3〜4回differential floatationをくり返すと神経細胞の殆んど純粋な浮游液が得られたと報告している。
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