技術講座 細菌
抗酸菌の分離法
工藤 祐是
1
1結核予防会結核研究所
pp.804-807
発行日 1981年10月1日
Published Date 1981/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543205374
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抗酸菌感染症への対応は診断,治療,予後,予防のすべてにわたり病原菌の検出が前提となる.
抗酸菌の検出手技は塗抹染色,分離培養,動物接種に大別できる.このうち塗抹染色は抗酸性染色(チールネールゼン法と螢光法が広く用いられている)によって材料中の抗酸菌を直接に探し求めるものであるが,検出感度は分離培養よりもかなり劣るのみならず,菌種の判定はほとんど不可能であり,死菌も生菌と同様に染め出される.したがって結核症が減少し,その他の抗酸菌の検出される頻度の多くなった地域や化学療法下では,この方法は検出のスクリーニング以上の意義はなくなったと言っても過言ではない.また動物接種による菌検出は,抗酸菌のうち結核菌群にのみしか応用できないが,結核菌でも検出能力が分離培養よりも優れているとは言えないし,その設備や経費,人手などの点から臨床検査にとり入れにくい(分離培養で汚染を繰り返す材料にときに試みられる).
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