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特集 第5回神経化学懇話会
シンポジウム・1
内因性精神病と精神薄弱の代謝異常
5.小児の器質的脳疾患における血液の酵素学的変化について
Enzymological Changes of the Brain in Organic Cerebral Diseases of Children
中 脩三
1
,
森 一
1
,
川北 幸男
1
,
鶴丸 泰男
1
,
中筬 豊久
2
Syuzo Naka
1
,
Toyohisa Nakaosa
2
1大阪市立大学医学部神経科学教室
2国立河内長野病院
1Dept. of Neuropsychiatry, Medical School, Osaka City Univ.
2Kawachi-Nagano Hospital
pp.715-720
発行日 1963年8月25日
Published Date 1963/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904052
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緒言
血漿の酵素学上の先天的変化に関しては,すでに多くの報告がある(例えば,phenylpyruvicoligophrenia, lipidosis等3))。これらの障害は,染色体での酵素系の欠陥によるものと考えられるもので,その症例は精神科臨床において時に見られるものである。岡田11)は脳性小児麻痺児の血清蛋白分屑像において,アルブミン分屑の下降,γ分屑の上昇,従つてA/G比の低下などのいわゆる肝機能不全に類似する所見を示すものがある事を,認めその所見は,高田,グロス,クンケルなどの血清膠質反応による肝機能検査ではあまり関係を示さず,Cerur oplasmin, G.O.T.,G.P.T.,は正常値を示し,尿のミロン反応のみが,その代謝障害を示唆していると記載している.
われわれは小児精神医学全般の,かかる問題を研究するため,昭和36年1月より昭和37年9月までに,三国立病院を訪れた小児111名について,血液化学検査,理学的検査ならびに心理学的諸検査を行ない,その結果を一応,A)脳髄に器質性障害が証明された群,B)脳髄の器質性障害の考えられる群,C)内分泌障害による疾患群,D)単なる発育遅滞群,E)精神神経疾患群の5群に分けて検討した。各群の疾患別の内訳は第1表に示す。
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