基礎から応用へ
酵素の分布とその活性度の変化
降矢 震
1
1千葉大・検査部
pp.29-32
発行日 1975年4月1日
Published Date 1975/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543200753
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現在日常行われている酵素検査の多くは一種の戸籍調べである.試料中に消長する酵素活性から,その由来する臓器の病変を推定する.火事の現場を見なくても,避難してくるのが看護婦ならば火元は病院だろうと想像できる.派手な身なりの若い女がぞろぞろ来ればキャバレーが焼けたらしいと思う.白衣を着た男だと見ただけでは判らない.そばに寄って消毒薬の臭がしたら病院らしく,魚の臭なら魚屋,強い香料なら床屋が火元かなということになる.血清アミラーゼの高値から膵炎を疑うのは前者であり,単純な測定でははっきりしないから電気泳動で分離しようというのは後者に当たる.血清コリンエステラーゼ活性から肝でのタンパク合成能をみようというような間接的なものもあるが,酵素検査の基礎知識の第一歩はそれぞれの酵素が生体内にどのように分布しているか,それがいかに変動するかを知ることであろう.
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