Japanese
English
一般演題
脳の酸核におよぼすtricyano-amino-propeneの影響
Effects of Tricyano-Amino-Propene to Nucleic Acid in the Brains
中 脩三
1
,
大橋 健男
1
,
山上 栄
1
,
川北 幸男
1
Syuzo Naka
1
,
Takeo Ohashi
1
,
Sakae Yaniagami
1
,
Yukio Kawakita
1
1大阪市立大学医学部神経科
1Dept. of Neuropsychiatry, Osaka City Univ. Medical school
pp.581-584
発行日 1965年9月25日
Published Date 1965/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904222
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はじめに
tricyano-amino-propene(以下tri-apと略す)はmalononitrilのdimerであって,かつて精神分裂病やそううつ病の治療に試みられたこともあった。最近でもこの薬物を用いて二,三の行動科学的研究1)が行なわれている。神経化学的には,これを静脈注射すると,1時間後に細経細胞のRNA量および蛋白量が増加し6),ghia細胞のRNA量が減少することがHydénら6)7)によつて認められた。その際塩基組成にも,変化が認められている7)。すなわち,神経細胞のRNAではcytosineが誠少し,guanineが増加するのに対し,glia細胞では,guanineが減少し,cytosineが増加する。また神経細胞内では,核のRNAが増加し,その塩基組成では,guanineが著明に増加し,uracilが減少するが細胞質では核ほどいちじるしくないが,やはりguanineが増加し,cytosineが減少することが認められた。これらの変化は,特殊な細胞質RNAが核RNAの変化によつて,induceされて生ずるものであろうと考えられている。Hydénらの結果は,いずれもmicrodissectionによつて得られた材料についてultramicrospectrophotometryによつて測定されたものであつて,通常の生化学的分析方法では,いずれも対照との間に有意の差を認めていない。
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