Japanese
English
話題
Leigh脳症と近縁疾患
Leigh's Encephalomyelopathy and its Related Diseases
成澤 邦明
1
Kuniaki Narisawa
1
1東北大学医学部小児科
1Department of Pediatrics, School of Medicine, Tohoku University
pp.1108-1109
発行日 1985年11月1日
Published Date 1985/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406205616
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- Abstract 文献概要
Leigh脳症は1951年イギリスの神経学者Leigh1)によって亜急性壊死性脳症(subacute necrotizing ence—phalopathy)として,はじめて記載された小児の変性疾患で,現在まで100例をこす報告がある。脳幹部,基底核,中脳,脊髄などに左右対称性の壊死性病変をみるのを特徴とし,常染色体劣性遺伝形式をとる疾患であるが,未だ本態は完全に解明されていない。
大部分の症例は2歳以下に,精神運動発達の遅れ,退行,哺乳,嚥下障害,嘔吐,筋力低下,失調,眼振,異常眼球運動などの多彩な症状で徐々に発症してくる。なかには急激に発症するものもあるが,この際はけいれんを主徴とするものが多い。数週又は数ヵ月の経過で死亡する例が多いが,末期にはほとんど例外なく呼吸障害をともなってくる。このように臨床症状が多彩で一定のパターンをとらないことから早期の臨床診断はむずかしく,確定診断はもっぱら死後剖検により病理学的になされてきた。最近,脳CTの所見で対称性の大脳基底核の低吸収域がみられるとの報告が増え,他に同様の所見を呈する疾患がほとんどないことから,本症の生前診断の有力な武器となってきている。一方,生化学的所見として髄液の乳酸値の上昇も最近重要視されるようになり,DeViroによれば,髄液乳酸値が正常ならばLeigh脳症を除外しうるという2)。2歳未満の乳幼児で進行性の神経症状がみられ,変性疾患を疑われたならば,本症を念頭におき,脳CTや髄液乳酸値の測定を積極的にやるべきであろう。
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