特集 術後合併症の治療
血栓,栓塞症
阪口 周吉
1
Shukichi Sakaguchi
1
1慶応義塾大学医学部外科学教室
pp.141-149
発行日 1971年2月10日
Published Date 1971/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409204356
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緒言
産婦人科手術後にみられる血栓,栓塞症といえば,いうまでもなく下肢の静脈血栓症およびそれに伴う肺栓塞症を指す。この両者は,わが国では必ずしも多い合併症ではなく,ことに後者ははなはだしくまれであるが,欧米では頻度の高い重要な合併症となつている。しかしわが国の血管系疾患分布が次第に欧米のそれに近く変動しつつあることから察して,将来わが国においても両疾患が術後合併症として重視される時代がくるであろうとは十分想像されるし,現にすでに増加の傾向がみられることも指摘されている。
一方,最近の血管外科の進歩は従来保存療法に終始していた本疾患に対し,積極的に血栓または栓塞の剔除を可能ならしめ,治療において著しい効果をあげつつある。本症と比較的関連の深い産婦人科医がこのような現状を認識されることははなはだ意義あるものと考える。
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