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I.はじめに
重症心身障害児者は中枢神経に重篤な慢性病変を持っているが,その経過の長さと,治療困難さのゆえに自宅で薄幸の子として介護されるか,医療設備のきわめて不備な施設や,精神病院に収容されてその一生を閉じることが多かった。近年,近代医療の手がようやくこのような重障児にのびて来て,臨床脳波学の分野でも,その詳細が少しずつ明らかになりつつある。
一方,社会的制約および研究者側の主体的条件もあって,従来ほとんどなされていなかった重障児の神経病理学的研究が最近緒につき,その成果がつぶさに報告されてきつつある。従来,脳波学者の中枢神経に対するマクロ的見方と神経病理学者の分析的見方との間には相当のへだたりがあり,互いになじまないものがあった。臨床脳波学者の欲する情報が神経病理学者から得られず,また,一方大部分の神経病理学者は,脳波学者の雲をつかむような話に実体を与えるのにためらいを感じて来た。しかし,重症心身障害の医療についての研究が最近進むにつれて,複雑多岐にわたる病像,病理が明らかになり,従来の専門の枠を離れたチームワークが要請されるようになって来つつある。「生前脳波とその病理所見」という,これまで考えられなかったようなテーマが出現したのも,このような流れを踏まえてのことであろう。
In a recent decade patients of severe cerebral palsy with idiocy have been remarked socially and medically as severely handicapped children. They are, in a medical sense, severe brain-damaged patients. In the present review, reports on EEG of autopsy cases of these patients are introduced and electrogenesis of the brain is discussed.
Summerized points are as follows.
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