特集 突然死の現状と予防
突然死の発生頻度とリスク—生前の健康状態
的場 梁次
1,2
,
藤谷 登
1
,
四方 一郎
2
Ryoji MATOBA
1,2
,
Noboru FUJITANI
1
,
Ichiro SHIKATA
2
1佐賀医科大学法医学教室
2大阪府監察医事務所
pp.662-666
発行日 1990年10月15日
Published Date 1990/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401900187
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■はじめに
突然死の調査や研究は,諸外国をはじめ本邦でも以前より精力的に行われているが,最近は“過労死”の問題も含めて社会的にも注目されるようになってきている.さて,この突然死であるが,一般には致命的な発症から死亡までの時間が非常に短いものとされ,昭和60年に発足した国立循環器病センター委託研究「突然死の調査研究班」においては,発症から24時間以内の死亡と定義されている1).さらにこれに加えて,予期されない(unexpected)死という概念が入っていると考えられている.すなわち,外見的には健康で元気そうな人が急に倒れたり,あるいは疾患があっても死ぬとは思われない人たちがある日突然に倒れ,死亡するものである.このような突然死の犠牲者たちはしばしば中高年の働き盛りであり,残された家族に対しても,あるいは社会的にも影響が大きい.この突然死に,仕事上のいろいろなストレスなどが影響しているのではないかということか最近問題になり,マスコミをはじめとして世間に注目されるようになったものが,いわゆる過労死である.また,青少年層の突然死はスポーツ中に発生することが多いので,学校や体育関係者に与える影響も大きく,乳幼児の突然死はしばしば窒息死の疑いにより,法的な責任が生じることがある.
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