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特集 メチル水銀中毒症研究の最近の進歩
自然環境におけるメチル水銀の生物濃縮
Bioconcentration of methylmercury in the environment
上田 喜一
1
Kiichi UEDA
1
1東京歯科大学衛生学教室
1Department of Hygiene, Tokyo Dental College
pp.815-824
発行日 1974年10月10日
Published Date 1974/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903663
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I.生物濃縮(あるいは拡大)
水銀は地殻の構成元素であるから,非汚染の自然環境でも必ず超微量には存在している。たとえば水中の水銀濃度は淡水で0.01〜0.05,海洋で0.03〜2ppbといわれる1)(ppb=parts per billion,1ppb=1/1000ppm)。
しかし,その中に住む魚類では低濃度のもので0.1ppm,マグロ,カジキ類では1ppmに達するから,水中濃度に対して1,000〜10,000倍に水銀が濃縮されたことになる。すなわち生物濃縮(bioconcentration)が行なわれている。この語の使用を嫌って生物拡大(biological magnification)を用いる研究者も多い。
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