Japanese
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特集 メチル水銀中毒症研究の最近の進歩
自然と生物環境における水銀
Mercury in the environment
滝澤 行雄
1
Yukio TAKIZAWA
1
1秋田大学医学部公衆衛生学
1Department of Public Health, Akita University, School of Medicine
pp.835-844
発行日 1974年10月10日
Published Date 1974/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903665
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I.はじめに
水銀による環境汚染の態様を知ることは,水銀中毒症を未然に防ぎ,かつ,その蔓延を防止し,被害を最小限にとどめるためにも公衆衛生学的見地から重要なことである。ここ十数年来,これに関する研究について数多くの情報がもたらされた。なかんずく,メチル水銀の環境汚染は,公知の文献により,人間の健康にきわめて有害であるものと確認されている。
1969年,Jernelöv1)は比較的毒性の弱い無機水銀からメチル水銀が生物的にできることを報告した。以来,従前のような水銀汚染の量的把握から水銀化合物の微生物によるメチル水銀の生成および生体内での有機化などの質的な検討が健康示標を知るうえで焦眉の課題となるにいたった。
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