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特集 メチル水銀中毒症研究の最近の進歩
メチル水銀の人体蓄積
Accumulation of methylmercury in human body
喜田村 正次
1
Shoji KITAMURA
1
1神戸大学医学部公衆衛生学教室
1Dept. of Public Health Faculty of Medicine, Kobe University
pp.825-834
発行日 1974年10月10日
Published Date 1974/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903664
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はじめに
メチル水銀化合物(以下文中ではMeHgと略記)にかぎることなく重金属化合物などいわゆる蓄積性をもった有害有毒化学物質の人体蓄積は,当該物質への人体ばく露の度合ならびに期間,体内への吸収率,体内での分解あるいは体内からの排泄の度合すなわち体内における減衰度の3者により左右されるものである。そして有害有毒物質の体内蓄積がある閾値以上になれば人体は影響をこうむり,さらに障害をうけるにいたるものであることも,中毒学領域における研究の結果から明らかにされている。
MeHgの毒性についてはすでに100年以上も前から特殊な職域における散発中毒例の報告が行なわれており特異な病像を呈することは知られていたが,わが国にかぎって再度一般住民の間に発生をみた経口的集団中毒としての水俣病により臨床医学的ならびに病理組織学的にMeHg中毒症としての病像ならびにそのおそるべき毒性があますところなくといってよいほどに一層明らかにされたのである。
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