特集 神経病理(第14回日本神経病理学会学術研究会より)
シンポジウム—Creutzfeldt-Jakob病とその類縁疾患
故 松岡龍典助教授を偲ぶ
三好 功峰
1
,
白木 博次
2
1兵庫医科大学精神神経科
2東京大学医学部脳研究所病理部
pp.31-32
発行日 1974年2月10日
Published Date 1974/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903598
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松岡龍典先生は,昭和3年6月25日,神戸市にて生誕され,姫路高等学校を経て,昭和29年3月,京都大学医学部を卒業された。その後,1年間の京都大学附属病院における実地修練の後,同大学精神医学教室(主任,村上仁教授)に入られた。4年間の京都大学大学院博士課程在籍の後,昭和34年3月,「アンモニアによる血液—脳関門障害」の研究で学位を受けられた。その後,昭和34年4月,京都大学医学部附属病院助手,昭和47年1月,京都大学助教授に就任された。
先生の研究は,多くの精神神経疾愚にわたった広汎,多岐なものであったが,そのうちでも,変性疾患の神経病理学的,臨床的研究において,輝かしい諸業績を残されたが,それらはその後,わが国でも盛んとなったこの方面での臨床病理学的研究の基盤となっている。そのうちでも近年,遅発性ウイルス感染症との関連において注目されているクロイツフェルド・ヤコブ病に関する先生の神経病理学的研究は特筆されるべきものであって,先生は,その一亜型である亜急性海綿状脳症の本邦における剖検例の最初の発見者であった。また先生は,本誌に特集されているクロイツフェルド・ヤコブ病のシンポジアムのmain speakersの1人として活躍されたが,今後,先生の該博な経験に裏うちされた演説や論文に接する機会を永遠に失ったことは,痛恨の極みである。
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