書評
—三好 功峰(兵庫医科大学教授) 松岡 龍典(元京都大学助教授)—神経疾患と精神症状—脳器質性精神疾患
亀山 正邦
1
1京都大学
pp.1069
発行日 1980年10月1日
Published Date 1980/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406204660
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- 文献概要
本書は三好教授が,故松岡龍典博士とともに長い間積み重ねられた神経病理学的な業績の,1つのまとめともいえる。その内容は,器質的脳疾患の重要なものについてほぼ洩れなく含んでおり,それらの臨床的な解説と病理所見との対比についても,心にくいほど行き届いている。「神経疾患における精神症状について,実際に経験した症例を通じて出来るだけ具体的な事柄を述べてみよう……」と努力され,随所にわかりやすく解説されている。「…脳器質性疾患において,一つ一つの疾患にそれぞれ特有な症状は認められないのが普通である。いくつもの症状類型が各疾患に共通したものとして現われることが多い。しかし経過の速さ,病変の拡がり,症状の進行性などの基礎疾患の特徴が,そのまま精神症状に微妙に反映していることも確かであり,本書では特にこの点に留意した」と,著者は序文に述べておられるが,その著者の意図は見事に実現されている。
本書は,はじめに,脳器質性精神障害を解説し,ついで具体的な疾患の概説,その精神症状の特徴,症例の呈示と剖検所見という順序で,記述されている。
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