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特集 神経病理(第14回日本神経病理学会学術研究会より)
シンポジウム—Creutzfeldt-Jakob病とその類縁疾患
Creutzfeldt-Jakob病(Creutzfeldt-Jakob症候群)の神経病理学的背景
The neuropathological background for Creutzfeldt-Jakob disease (Creutzfeldt-jakob syndrome)
白木 博次
1
Hirotsugu SHIRAKI
1
1東京大学医学部脳研究所病理部
1Department of Neuropathology, Institute of Brain Research, Tokyo University Medical School
pp.4-30
発行日 1974年2月10日
Published Date 1974/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903597
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はじめに
Creutzfeldt-Jakob病(以下C-J-Dと略称)の臨床・疫学の詳細は,松岡1)の論文にゆずるが,筆者はC-J-Dの神経病理学的分析の基盤となるC-J-Dの臨床・疫学を,過去の重要丈献2〜5)を参照して,以下に総括した。C-J-Dは,主として中年以降の男女に,とくに性別もなく好発,亜急性,進行性,ときに再燃性,重畳性に経過,数か月から2年前後に,かならず死亡する。その間,各種の精神障害を必発,ときに巣症状を示し,とくに末期には,意識障害や原始反射をともなう無動性無言症,または失外套症候群など高度の精神荒廃におちいる。一方,多少にかかわらず,記述,分類困難,また多彩な錐体路性,錐体外路性の両神経障害が必発するが,特異な姿勢異常,下肢や四肢の特異な屈曲位,ときにミオクローヌス様多動などもみられる。したがってC-J-Dは,前述の高度精神障害に併行して,これらの神経障害が,段階的,重畳的に進展していく初老期以降の精神神経疾患である。
一方,C-J-Dの神経病理学は,前述のように,臨床・疫学上の幅ひろい共通性があっても,明確またはかなり明確に,以下に述べる3群に大別できる。したがってG-J-Dは,一つの臨床・病理学的疾患単位ではなく,まずC-J症候群として把握し,再分析していく側面に,C-J-Dの研究の再出発点を求めるべきである。
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