Japanese
English
特集 神経系の加齢
末梢神経の退行性変化
Age changes of peripheral nerves in man
東儀 英夫
1
,
塚越 広
1
,
豊倉 康夫
1
Hideo TOHGI
1
,
Hiroshi TSUKAGOSHI
1
,
Yasuo TOYOKURA
1
1東京大学医学部脳研究施設神経内科
1Department of Neurology, Institute of Brain Research, Univ. of Tokyo
pp.679-690
発行日 1973年8月10日
Published Date 1973/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903532
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緒言
末梢神経の加齢に伴う形態学的変化の検討は,生検または剖検によって得た病的材料の所見の評価と意味づけに際し重要であるばかりでなく,広く神経系全体の加齢による変化の一部として,それ自身興味ある問題である。末梢神経の年齢変化は,その構成要素である有髄線維,無髄線維,Schwann細胞を主とする各種の細胞,膠原線維,神経周膜,栄養血管のそれぞれに起こり得るであろうし,それらが相互に影響を及ぼしながら進行することが考えられる。さらにまた末梢神経は,運動神経においては脊髄前角細胞からend-plateまで,知覚神経においては脊髄後索,後根神経節から皮膚知覚受容器に至る長いneuronの一部である。したがって,末梢神経の退行性変化を検討する際にも近位部と遠位部の違いを考慮する必要があり,この長いneuronの加齢による変化を全体として捉える立場がなければならない。
末梢神経は神経線維が縦の方向に走り,それに沿ってSchwann細胞が配列しており,その横断面を観察することにより定量的扱いが容易であるという構造上の特徴を有している。したがって本稿では末梢神経の構成要素のうち,有髄線維,無髄線維,およびSchwann細胞を主として取りあげ,定量的観点からその年齢変化を述べる。
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