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特集 神経系の加齢
神経系の加齢の組織化学—リポフスチン・アミロイドを中心として
Histochemistry of the nervous system in aging: With special reference to lipofuscin and amyloid degeneration
平井 俊策
1
Shunsaku HIRAI
1
1東京大学医学部老人科
1Department of Geriatrics, Faculty of Medicine Tokyo University
pp.691-701
発行日 1973年8月10日
Published Date 1973/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903533
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I.はじめに
老化に伴う形態的な変化としては,古くからいろいろなものが知られているが,それらを整理してみると,二つに大別できるのではないかと思われる。その一つは,より生理的老化と考えられる変化であり,他の一つはより病的な意義の強い変化である。前者は主に中年以後から少しずつ出現しある年齢以上の老人では必ず見られるとともに,量的にみるとその出現率が年齢に伴いほぼ直線的に増加するような変化である。しかもこれらの変化を認めても特別な症状を呈しない。これに対して後者,すなわち病的老化性変化は,たしかに老人になるとふえるが,すべての老人にみられる変化ではなく,しかもその出現率を量的に検討してみると年齢よりもむしろある疾患と密接な関係があり,これが著明にみられる例では病気としての症状がみられる。この両者はもちろん厳密に分けることはできず,高齢になるほど生理的老化と病的老化の区別は不明瞭となる。また従来発表されている変化の中には,定性的な報告のみで定量的な研究がないため,このいずれに入れてよいか不明の変化もある。
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