Japanese
English
特集 第8回「脳のシンポジウム」
主題:ニューロパチー研究の最近の問題
各種末梢神経疾患および正常対照例における腓腹神経の節性脱髄と軸索変性
Segmental demyelination and axonal degeneration of the sural nerve in cases with peripheral nerve diseases and normal control
塚越 広
1
Hiroshi TSUKAGOSHI
1
1東京大学医学部脳研究施設神経内科
1Department of Neurology, Institute of Brain Research, Faculty of Medicine, University of Tokyo
pp.83-99
発行日 1973年2月10日
Published Date 1973/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903475
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
Ⅰ.緒言
末梢神経障害にみられる主要な神経実質病変としては,節性脱髄と軸索変性との二つがあげられる。従来のパラフィン包埋標本を主とする病理組織学的方法では,節性脱髄は確認困難なことが多く,軸索変性の確認も必ずしも容易でない。神経線維の1本1本をときほぐして観察するteased fiberは,これらの病変を確認するには適しているが,神経線維全体の病変をとらえ難いおそれが存する。われわれはパラフィン包埋標本とteased fiberを併用して節性脱髄と軸索変性の組織像,出現頻度,これらの再生所見,相互関係などについて検討した。
末梢神経の病理学的検討においては,対照例の変化を常に問題にせねばならない。年齢とともに変化する末梢神経の病変が病的か否かを決めるためには,同年齢の正常対照例と比較検討する必要がある。そこでほぼ正常と思われる対照例として各年代にわたる急死剖検例25名の腓腹神経をとり,節性脱髄,軸索変性の出現状況を観察しこれと各種末梢神経疾患の生検腓腹神経における節性脱髄,軸索変性の出現状況とを比較検討することとした。
Copyright © 1973, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.