Japanese
English
特集 神経系の加齢
老人性脳病変の微細構造
The fine structure on senile alteration of the brain
関谷 透
1
,
山本 哲弘
1
Toru SEKIYA
1
,
Tetsuhiro YAMAMOTO
1
1神経研究所
1Institute of Neuropsychiatric Research
pp.669-678
発行日 1973年8月10日
Published Date 1973/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903531
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I.はじめに
加齢の社会的問題が深まるとともに,老人性精神障害に対しての関心もたかまりつつある。医学の各分野における臨床的ならびに基礎的研究が急がれ,神経病理学の上では,老人性脳病変の形態的特徴とされていたAlzheimer神経原線維変化や老人斑が老人性精神障害者に特有の所見として,古くから重要視されていたが,これらの変化が,老年性過程(Aging process)として健常な老人脳にも認められることや,各種の原因不明の変性疾患にも見出されることが明らかになって以来,これらの変化の病因や発生機序をめぐって論議の多いところとなった6,8,10,15,21,27)。
電子顕微鏡(以下電顕と略す)が導入され,Terryら24,25)が,Alzheimer病脳の微細構造を報告して以来,今まで光学顕微鏡(以下光顕と略す)のレベルで不確実であったものについて,新知見が次々と得られるようになった12,13,22,23)。さらに,いわゆる痴呆などの精神機能の低下も,Synapscなど微細構造との関連において論ぜられようとしている4)。
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