Japanese
English
特集 神経疾患と脂質代謝
末梢神経疾患と脂質
Diseases of the peripheral nerves and lipids
高須 俊明
1
Toshiaki TAKASU
1
1東京大学医学部脳研究施設神経内科
1Department of Neurology, Institute of Brain Research, Faculty of Medicine, University of Tokyo
pp.564-574
発行日 1973年6月3日
Published Date 1973/6/3
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903521
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Ⅰ.緒言
末梢神経系とは,神経系の中で脳脊髄の外にある部分の総称であるが,単に肉眼形態学上の区別に留まらず,組織学的なあるいは生理学的な,末梢神経系を特徴づけるいくつかの特質があって,その一部は末梢神経疾患の理解の上にも重要である。
末梢神経は一般に走行が長い。脳脊髄のように硬組織や髄液にとり囲まれていない部分が多い。末梢神経系に含まれるニューロンには,非常に長いものが多い。脊髄神経および第5,7,8(一部),9および10脳神経の第1次知覚ニューロンおよび交感神経節後ニューロンは,個体発生学的にneural crestから形成される。末梢神経系には神経細胞体部分は比較的少ない。シナプスは自律神経性のものに限られるが,その反面,末梢神経系には知覚受容器や効果器官との接合がある。末梢神経系の神経線維の髄鞘は,一部の脳神経(視神経など)を除けばすべてSchwann細胞から形成され,髄鞘形成の開始は神経系の中で最も早い。神経根部および一部の脳神経(視神経など)を除けば,個々の神経線維の周りに結合組織性の神経内膜鞘を持つ。一部の脳神経(視神経など)を除けば,神経線維の再生があり得る。末梢神経系には,一部の脳神経(視神経など)を除き,血液脳関門のような明瞭な障壁は存在しない。
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