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特集 神経病理(第13回日本神経病理学会学術研究会より)
シンポジウム:視床—その機能と障害
Ⅱ.病理
視床の血管障害
Vascular lesions of the thalamus
亀山 正邦
1,2,3
Masakuni KAMEYAMA
1,2,3
1東京都養育院付属病院
2東京大学
3浴風会病院
1Tokyo Metropolitan Geriatric Hospital (Yoikuin)
2Tokyo University
3Yokufukai Geriatric Hospital
pp.256-263
発行日 1973年4月10日
Published Date 1973/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903494
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I.はじめに
視床は脳血管障害の好発部位の一つである。ことに,視床症候群については,Dejerine-Roussy以来,多くの注目を集めている。しかし,先に著者が指摘したように,古典的な視床症候群を具えた症例をみることは,むしろまれである1)。
視床の血管分布に関しては,Hillemand & Foix2)の研究は有名である。しかし,現在では,多くの点で事実にそわない点もある。Lazorthesら3)は,視床へ分布する動脈を,下視床動脈,後視床動脈,および上視床動脈の3群に分けることを提唱している。視床動脈は,脳血管撮影によって,すでにvisibleになっており,従来の細かい分類よりも,このような大まかな分類の方が,実用的な価値は高いと思われる。このうち,下視床動脈は,主として従来の視床穿通動脈にあたり,後視床動脈または後外側視床動脈は,従来の視床膝状体動脈にあたる。また上視床動脈は主として従来の外側後脈絡叢動脈に相当するとみなされる。本研究では,視床の動脈系を,これらの3群にわけて考察を加えた。
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