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特集 神経病理(第13回日本神経病理学会学術研究会より)
シンポジウム:視床—その機能と障害
Ⅲ.臨床
ヒト視床における運動感覚系の分化—定位脳手術の経験から
Differentiation and integration of sensory and motor function in human thalamus: from the experiences of human stereotaxic surgery
楢林 博太郎
1
Hirotaro NARABAYASHI
1
1順天堂大学医学部神経学教室
1Dept. of Neurology, Juntendo Medical School Hospitals
pp.264-273
発行日 1973年4月10日
Published Date 1973/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903495
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古くからの臨床,病理学的研究や,また動物における少数の生理学的実験によって,視床の感覚中継核としてのはたらきやその解釈についてはよく知られている。いわゆるDejerine,Roussyの記載以来の視床症候群の中にはいくつかの運動症状が含まれているが,これらが内包や小脳遠心路の関与を除外し,視床そのものの障害によることを明らかに論じた報告は少ない。ヒトの視床について,その運動系の機能への関与という側面が明らかにされてきたのは,ヒトの脳に対する定位脳手術の発達に俟つところが多い。その功績はHasslerが線維解剖学的な根拠からはじめて視床腹外側核Nucl. ventralis lateralis thalami(以下VL核)ことにV. O. P. 核(後述)に対する手術を提唱したことに帰せられるところが大きいが,対象とされた疾患は当時は主としてパーキンソニズムであり,その振戦と筋強剛に対してであった。以来10数年間の各国における視床手術の経験が広く報告されているが,以下に述べるところは筆者が,協同研究者とともに本手術を通じてきわめて細心に観察,分析した経験にもとづくものであって,いくつかの個所においては海外研究者の考え方とは基本的に異なるものがある。そのような討論の焦点になるであろう論点についてはそのつど説明を加えてゆきたい。
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