連載 臨床で役立つ末梢神経病理の読み方・考え方・1【新連載】
腓腹神経病理の基本
佐藤 亮太
1
,
神田 隆
1
1山口大学大学院医学系研究科臨床神経学
pp.423-430
発行日 2019年4月1日
Published Date 2019/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1416201288
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はじめに
近年,腓腹神経生検数は全国的に減少の一途をたどっている。これは電気生理学的検査や遺伝子検査などの発展によって,組織学的な裏付けがなくても,以前より正確な末梢神経障害の臨床診断が可能になってきたためであり,非常に喜ばしいことであると筆者は考える。一方で,腓腹神経生検数が減少することによって,腓腹神経病理を学ぶ機会がない脳神経内科医が増えつつあることに筆者は若干の危機感を持っている。この連載を始めたのは,末梢神経病理の知識を持つことでニューロパチーの臨床への理解がさらに深まることを実感してもらいたいという筆者の願いからである。ニューロパチーの患者を前にして,また,末梢神経伝導検査を施行している最中に,「この患者の末梢神経はこんなふうに変化しているのでは?」というような病理画像が浮かんできたら,この連載の目標はほぼ達成されたものと考えている。
初回は末梢神経病理の基本事項を解説することとする。腓腹神経生検がまったく不要な検査となってしまうことはなく,末梢神経病理の知識は末梢神経疾患の臨床に非常に有用であることを改めて強調しておきたい。
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