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特集 慢性進行性神経疾患・Ⅱ
遺伝
先天性糖代謝異常による神経・筋疾患
Brain and muscle dysfunctions due to congenital disorders of carbohydrate metabolism
垂井 清一郎
1
Seiichiro TARUI
1
1大阪大学医学部第二内科
1Second Department of Internal Medicine, Osaka University Medical School
pp.1040-1047
発行日 1972年12月10日
Published Date 1972/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903455
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I.はじめに
先天性糖代謝異常に基づく神経・筋疾患(表1)は,低血糖を伴う中枢神経系の障害と,筋糖原病に二大別し得る***。後者は,グリコーゲン分解系の異常(糖原病Ⅲ,Ⅴ,Ⅶ型)ないしはグリコーゲンの沈着による筋肉の空胞変性に由来するもの(糖原病Ⅱ型)であり,そのpathogenesisは比較的単純明快である(表2)。しかし前者は,病型をさらに分類して精しく考察する必要があると考えられる。糖代謝は,生体組織のエネルギー代謝の根幹であるから,以上のような考察の基盤として,グリコーゲンを中心とした糖代謝の調節機序の輪廓を要約するとともに,とくに中枢神経系におけるエネルギー代謝と糖質との関係を分析して,低血糖症の新しい分類を呈示したい。また類似した病像を示す筋糖原病の鑑別診断についても述べる。
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