今月の主題 アルコール障害
アルコールによる代謝異常
糖代謝異常
岡 博
1
1東京大学医学部・第1内科
pp.400-402
発行日 1986年3月10日
Published Date 1986/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402220249
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アルコールの多飲は糖代謝に種々な異常をもたらすが,それには多くの,しかも時に相反する方向に働く因子が関与する.また,生体の代謝状態,すなわち,食後の肝グリコーゲンが十分に貯蔵されている状態か,空腹時で血糖維持が肝の糖新生能に依存している状態かによって,アルコールの糖代謝に対する作用も異なって来る.さらに,アルコールの長期大量摂取は,アルコール性の肝障害,膵障害をひき起こすので,肝,膵疾患による2次的な影響が糖代謝異常の主たる原因ともなりうる.
以上述べたような理由により,アルコールは高血糖の方向にも,低血糖の方向にも働きうる.以下,アルコールによる糖代謝異常について概説する.
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