実地臨床手技のエッセンス 妊娠に合併する難症のとり扱い--他科よりのアドバイス
妊娠と糖代謝異常
松岡 健平
1
,
岡崎 怜子
1
,
高橋 明
2
,
落合 寛
2
Kenpei Matsuoka
1
,
Reiko Okazaki
1
,
Akira Takahashi
2
,
Hiroshi Ochiai
2
1済生会中央病院内科
2済生会中央病院産婦人科
pp.843-847
発行日 1979年11月10日
Published Date 1979/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409206124
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インスリン以前の時代,糖尿病の妊婦が生児を得ることはほぼ不可能であった。男女とも糖尿病患者には不妊が多く,糖尿病患者の妊娠をみることはきわめてまれであった。したがって糖尿病と妊娠の問題は事実上存在しなかったといえる。今日では,糖尿病患者が家族構成に占める比率から推測すると,受胎率が非糖尿病群に比し低いということはなく,十分に治療された糖尿病婦人の妊娠は非糖尿病群よりやや少ないだけで,だいたい1000例の出産のうち1例が糖尿病妊婦である1〜2)。
糖尿病婦人の妊娠,産褥期の管理にあたって,まず,妊娠・出産が糖尿病の妊婦に与える影響を理解しなければならない。糖代謝異常とそれに関連した合併症を有する母体,胎盤およびそのホルモン,そして胎児とその発育の三者はお互いに関連し,強く影響し合っているのである。妊娠そのものが耐糖能を低下させ,糖尿病発症の誘因となることは,周知の事実である。
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