Japanese
English
特集 感覚情報の処理機構
内臓からの感覚情報
Afferent discharges from sensory receptors in the visceral organs
新島 旭
1
Akira NIIJIMA
1
1新潟大学医学部第一生理学教室
1Department of Physiology, Niigata University School of Medicine
pp.685-695
発行日 1972年8月10日
Published Date 1972/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903422
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Ⅰ.内臓感覚の成立
内臓感覚は内臓痛覚(visceral pain)と臓器感覚(organic sensation)に分けられる。前者は主として病的状態において臓器に分布する感覚神経の末梢が刺激を受けておこす痛みの感覚であり,後者は空腹感,満腹感,尿意,便意など,身体の内部の状況変化が内臓器官に存在する感覚終末で受容されることによっておこる感覚である。いずれも末梢の受容器より求心性神経を通り中枢に情報が送られて成立する感覚であるが空腹感,満腹感および渇の感覚は神経性のみならず体液性の情報がこれに関与しておりむしろ後者に重点があることが明らかになりつつある。これらの内臓感覚は快,あるいは不快の感じを伴うことが多く感覚の局在は漠然としている。最近研究の進展しつつある‘食欲’の分野を除いては内臓感覚成立の中枢における情報処理機構についてはほとんど知られていないといってよいであろう。内臓の各臓器には臓器感覚のもとになる情報を送り出す機械的受容器,化学的受容器などの存在が見出されており,その活動状況も各器官によって多様である。また痛覚受容器の存在も知られている。
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