Japanese
English
特集 感覚情報の処理機構
食欲および化学感覚情報
Appetite and chemical receptive process
大村 裕
1
Yutaka OOMURA
1
1金沢大学医学部生理学教室
1Department of Physiology, Faculty of Medicine, Kanazawa University
pp.696-711
発行日 1972年8月10日
Published Date 1972/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903423
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哺乳類の視床下部にある腹内側核(ventromedial nucleus,VMH)とその約1.5mm外側にある外側野(lateral hypothalamic area,LH)が,それぞれ,摂食の抑制と促進に関与する飽満中枢と摂食中枢であることは周知の事実である。すなわち大脳皮質は健在でも両側の飽満中枢だけを限局性に破壊すると動物は多食と肥満をきたし,摂食中枢の破壊では無食および無飲になってしまう。逆に前者の反復電気刺激ではその間摂食が停止され,後者では,飽満状態でも餌をとる。さらに摂食中枢が食欲という動機を発生させ摂食行動を引き起こす部位であり,飽満中枢が満腹感を形成して摂食を停止させることも多数の行動実験から証明されている(これらの詳細については大村,1971 b;1972 b,cを参照)。
摂食および飽満中枢に発生した神経活動―この場合はニューロンのインパルス―は室周線維系(背側縦束)と内側前脳束の2経路を通って脳幹を下降し,迷走神経核や三叉神経核などの自律神経運動核にいたり摂食行動を調節している。
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