Japanese
English
特集 脳の奇形と発生
小脳外顆粒層の発生に関する考察
Cell proliferation and differentiation in the external granular layer
藤田 晢也
1
Setsuya FUJITA
1
1京都府立医科大学第二病理学教室
1Department of Pathology, Kyoto Prefectural University of Medicine
pp.351-356
発行日 1972年4月10日
Published Date 1972/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903386
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新生児の小脳の組織像をみると軟脳膜直下にちょうど大リンパ球のような核をもち胞体がほとんどないように見える細胞がぎっしりと並びながら層をなして小脳全体をおおっているのがみられる。これが,これから論じようとしている小脳外顆粒層external granular layerである。この細胞層は中枢神経系全体を通じて,ここだけに見られるものであるので古くから特別の関心が持たれていた。これらが小脳の細胞を産生する母基細胞の集団すなわちcouche mère externeであるとする考え11)は一般的に認められていたが具体的にこれらがどこから由来しどのような細胞をつくりそれ自身はどうなるのかという点については種々の意見が錯綜し発生学者の見解も長い間まとまらないままであった,しかし最近3H-thymidineのオートラジオグラフィーが組織発生の分析に体系的に利用されるようになり,これらの問題もほぼ満足の行く程度に整理され統一的な結論にまとめうる段階となった。それらをできるだけ簡潔にまとめて述べるのが本論文の目的である。しかし本論に入るまえにまず小脳の発生全体のなかでこの外顆粒細胞系の占める位置について明らかにしておかなければならない。
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