特集 発生から紐解く 胎児超音波診断アトラス [Web動画付]
第1章 発生から胎児の形態異常・機能異常を理解する
3.中枢神経系の発生
山田 重人
1,2
,
中野 詩織
1
,
山口 豊
1
S. Yamada
1,2
,
S. Nakano
1
,
Y. Yamaguchi
1
1京都大学大学院医学研究科附属先天異常標本解析センター
2同研究科人間健康科学系専攻
pp.1242-1245
発行日 2020年11月30日
Published Date 2020/11/30
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000001478
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発生第3週初めに,外胚葉が肥厚して板状を呈し,神経板となり,中枢神経系の発生が始まる。神経板と外側の外胚葉の移行部が高まって神経ヒダとなり,神経板の中央部にできた神経溝を覆うように両側の神経ヒダは近づいていく。発生第21日頃から癒合が開始し,神経管の形成が始まる。神経管は,脳を作る前部神経管(anterior neural tube),脊髄を作る後部神経管(posterior neural tube)からなる。発生学的には,左右の神経ヒダの癒合により形成される神経管を一次神経管(primary neural tube)とよぶ。一次神経管は,文献により多少記載の違いはあるが概して腰髄までを形成する。それより下方は二次神経管(secondary neural tube)により形成される。二次神経管は一次神経管の尾方,尾芽(tail bud)の中で中胚葉性間葉細胞が上皮化することにより発生が始まる。尾芽の増殖により体軸は縦方向に成長しつつ,凝集した細胞塊の中央が通じて環状となり(canalization),二次神経管を形成し,一次神経管と癒合して1つの神経管となる。
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