Japanese
English
特集 脳の奇形と発生
コネコの睡眠と脊髄反射活動
Spinal reflexes during natural sleep in the kitten
工藤 典雄
1
Norio KUDOO
1
1東京医科歯科大学歯学部生理学教室
1Department of Physiology, Tokyo Medical and Dental University
pp.357-363
発行日 1972年4月10日
Published Date 1972/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903387
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Ⅰ.緒言
ネコの睡眠中の脊髄反射活動については最近多くの研究がなされている。たとえば,後肢の単シナプス反射および多シナプス反射の大きさはパラ睡眠時にはオーソ睡眠時に比べ減少することが知られている1,6,8,12,19)。これらは主としてパラ睡眠時における前角運動細胞の興奮性の低下(脊髄レベルへの上位脳幹からのシナプス後抑制あるいは脱促通)によると考えられている7,13,14)。
一方,動物の発達に伴う睡眠の変化に関する最近の研究によると,コネコではパラ睡眠の睡眠全体に占める割合が多いことが知られている3,17,20)。また睡眠時のコネコの行動はオヤネコ(成猫)と多少違っていて,頸筋の緊張はオーソ睡眠時にすでに消失することが多い。さらにまたパラ睡眠時には四肢の相動的収縮がオヤネコよりも頻繁に出現する9,20)。これらの事実を考慮して,コネコの睡眠中の脊髄反射活動を記録し,オヤネコにおける結果となんらかの違いがあるかどうかを調べてみた。コネコではオーソ睡眠時に比べパラ睡眠時に多シナプス反射は減少するが単シナプス反射はオヤネコと反対に増大するという結果が得られた。この機序を解析するため前角運動細胞の興奮性をしらべ,さらにシナプス前機構の変化を二つの方法,すなわち,P-waveとWallの方法21)で調べた。
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