Japanese
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特集 ヒト運動機能研究法の進歩
脊髄反射
Spinal Reflex
田中 勵作
1
Reisaku Tanaka
1
1東京都神経科学総合研究所・病態神経生理学研究学部門
1Department of Neurobiology, Tokyo Metropolitan Institute for Neurosciences
キーワード:
spinal renex
,
human motor control EMG
,
H-renex
Keyword:
spinal renex
,
human motor control EMG
,
H-renex
pp.1003-1008
発行日 1991年11月1日
Published Date 1991/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406900265
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1.はじめに
上位運動中枢は,種々の下行路を通じて,脊髄反射回路網の第一次介在ニューロンから最終の運動ニューロンに至る各レベルと密接なシナプス結合を持ち,これらを通じて運動ニューロン活動を調節する。すなわち,脊髄反射回路は運動調節機構の重要な構成メンバーである。脊髄反射活動を観察するということはその反射に関わる神経回路網の活動状態を観察することと同義であり,さらには脊髄運動中枢の機能動態を探る有効な方法となる。この考え方に立つとき,脊髄反射は単なる現象ではなく,運動中枢機能の解析のための1つの有効な手段とみなされる。ここに運動機能研究における脊髄反射研究の意義がある。
現在採用されているヒトにおける脊髄反射研究の手法には新奇なものはほとんど無い。感覚入力刺激の与え方・記録法に関する基本的誘発手技は19世紀末から20世紀前半紀にかけてほぼ完成された。その後の進展は,エレクトロニクスの進歩による手技の改良と応用の拡大に尽きる。特に,1)電気刺激の採用や感覚受容器の選択的刺激と筋電図などの電気的活動記録による定量的取扱いへの改良,2)動物実験の成果に基礎をおいた方法論の吟味による実験精度の上昇,3)実地の運動解析への組み込み,があげられよう。
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