Japanese
English
特集 脳の奇形と発生
実験的低酸素血の胎児脳の発育に及ぼす影響
Changes of the brain development caused by experimental hypoxemia in fetuses
中村 和成
1
Kazushige NAKAMURA
1
1神戸大学医学部解剖学第1講座
1Department of Anatomy, Division Ⅰ, Kobe University School of Medicine
pp.323-329
発行日 1972年4月10日
Published Date 1972/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903382
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I.はじめに
胚に対する呼吸障害の記載はSchwann(1834)の《De necessitate aeris athmosphaerici ad evolutionem pulli》(鶏胚の発生に対する空気の必要性について)にはじまる。その後,両棲類,魚類,鳥類胚について同様の報告13)があるが,最も代表的なものはイモリ胚を用いた卵の着床から原腸形成までの間,酸素欠乏状態においた実験ことに神経管形成障害についてのBuchner10)11)12)(1946,1948,1956)の報告であろう。彼はこれによって生じる無脳症を報告し,またしばしばみられるものとして眼の発育障害ことに両眼癒合症と単眼症を報告している。そして彼は《われわれの検索成績はヒトの奇形もまた少なからず,全般的な酸素欠乏,とくに受精卵の一次的あるいは二次的な着床障害によって発生するという推定を可能ならしめる》と述べている。
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