Japanese
English
特集 精神薄弱
精神薄弱の臨床
Clinical Aspects of Mental Retardation
小林 提樹
1
Teiju Kobayashi
1
1島田療育園
1Shimada Ryoiku-En
pp.68-82
発行日 1968年4月25日
Published Date 1968/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904483
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
I.はじめに
精薄の臨床の題で,精薄の診断・症状・予後・治療および精神病との関係などについて考えを進めるわけであるが,このように分けることにはたいへんな無理がある。特に症状にいたつては,この形で取り上げている本はわずかしか見当らなかたつし,しかもそれも,無理を冒しているだけに,誠に粗雑である。また精薄の頻度という一点を捉えてみても,文部省・厚生省また都庁それぞれの実態調査は,開きの多い結果を出している現状であるが,そうした混乱の理由は,精薄というものの本質的なものを知ればよく分ることで,そのためには,まず精薄の定義から考えを進めなくてはなるまい。ここにはそれは要求されたものではないが,あえて次の一章をここに起した理由でもある。
なお,精薄に対する統一した見解を持たない限り,首肯しうる理論展開をなしえないであろうと思われるが,しかし,そこにはきわめて大きい危険がありうるので,今までの成書はそうした冒険をあえてしないかわりに,大同小異の変わり映えのしないものになりがちであつた。ここには私なりの意見のもとに統一したものを打ち出したいので,多くの異論があり,また研究の進歩とともにそれは訂正されるものがあろうが,しかし,ある時代における一つの意見として意義を持たせられるであろうと思い,あえて文献をあさりながら展開したいと思う。
Copyright © 1968, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.