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特集 第6回脳のシンポジウム
主題—日本における神経化学
実験的高フェニールアラニン血症
Experimental Phenylalanaemia
平野 修助
1
Shusuke Hirano
1
1東邦大学医学部第二生理学教室
12nd Department of Physiology, Toho University School of Medicine
pp.367-370
発行日 1971年7月15日
Published Date 1971/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903247
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Ⅰ.緒言
高フェニールアラニン血症は,ヒトのフェニールケトン尿症で知られるように精神薄弱を伴つてくるが,神経機能障害の原因を神経化学の面で明らかにすることは精神薄弱の発生を予防し治療するためには重要な問題であろう。そもそもフェニールケトン尿症に随伴する精神薄弱は,乳幼期に高フェニールアラニン血症が続く場合に,後遺症として脳の機能障害が現われてくる。このことは,発育期にある乳幼期の脳に対する物質代謝の異常による神経系の不可逆的な機能障害とも考えられる。
乳幼期における脳に対して強い侵襲が与えられた場合,後遺症を残すことがしばしば見聞されているが,このような知能障害の発生が,発育期にある神経系のいかなる物質的背景に根ざすものかを明らかにするために,実験的に動物に,とくに乳幼期の動物に高フェニールアラニン血症を作り,直接に神経組織の物質変化を追究して,神経機能障害の物質的基盤を明らかにしようとした。
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