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特集 第6回脳のシンポジウム
主題—日本における神経化学
実験的高アミノ酸血症における脳蛋白合成—先天性アミノ酸代謝異常症における脳発達遅延の成因に対するアプローチ
Brain Protein Synthesis in Experimental Hyperaminoacidemia: An Approach to the Pathogenesis of Mental Retardation seen in Inborn Errors of Amino Acid Metabolism
多田 啓也
1
,
高田 五郎
1
Keiya Tada
1
,
Goro Takada
1
1大阪市立大学医学部小児科教室
1Dept. of Pediatrics, Osaka City University Medical School
pp.359-366
発行日 1971年7月15日
Published Date 1971/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903246
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Ⅰ.緒言
最近遺伝生化学の驚異的進歩に刺激されて臨床面でも先天性代謝異常(Inborn errors of metabolism)に対する関心が高まつている。なかでもスクリーニング法が普及しているアミノ酸代謝の分野でその成果はめざましい。筆者らのクリニークでは1960年来精神ないし身体発育遅延を示す乳幼児を対象に二次元薄層クロマトグラフィーによるアミノ酸尿のスクリーニソグを施行しており現在までその数は約5,600例に及んでいるがその間に見いだした先天性アミノ酸代謝異常症は50例に達している(表1)。
周知のようにアミノ酸代謝異常症の大部分は程度の差こそあれ知能障害を伴うものが多い1)。この事実は或る特定のアミノ酸ないしその派生物が知能障害を惹き起すと考えるよりは,いずれのアミノ酸でも体内に異常に蓄積すれば知能障害の原因となりうると考える方が自然であろう。すなわちアミノ酸の種類が問題になるのではなく,体内におけるアミノ酸のアンバランスが乳幼児期の脳発達に悪影響を与えるであろうことを著者らは以前から指摘して来た1〜3)。
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