Japanese
English
特集 脳のシンポジウム
主題—情動と自律神経・内分泌機能
副腎皮質ホルモンの面からみた辺緑—視床下部系のストレス緩衝作用
Buffer Action on Limbic-Hypothalamo System to Stress: An Observation of Hypophysis-Adrenocortical Hormones
川上 正澄
1
,
瀬戸 勝男
1
,
石田 孜郎
1
,
久保 勝知
1
,
柳瀬 昌弘
1
,
佐久間 康夫
1
Masazumi Kawakami
1
,
Katsuo Seto
1
,
Siro Ishida
1
,
Katsuharu Kubo
1
,
Masahiro Yanase
1
,
Yasuo Sakuma
1
1横浜市立大学医学部第2生理学教室
1Department of Physiology, Yokohama City University School of Medicine
pp.185-194
発行日 1970年4月25日
Published Date 1970/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903123
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
I.はじめに
ACTHの下垂体前葉からの分泌は神経性ならびに体液性の二重支配によつて調節されている。一方,この神経性調節はホルモン,その他体液性因子によつて影響されている。これら二つの調節機序はどの程度生体内外の環境によつて影響を受けるかという点は興味ある問題である。ネズミにおいても,ヒトの飼育するものと野生のものとては種々のストレスに対する反応態度は異なつている。内分泌の面からみると高温,低温などの温度環境や精神性情動刺激を負荷した場合,野生のネズミでは,飼育ネズミほど,副腎皮質のアスコルビン酸やリピッドの減少が起らない。しかし,これらの野生のネズミでもACTHを投与した場合には,飼育ネズミと同様の反応がみられる(Woods, J. W. 1956)。成熟後においてストレスに対する順応形成の難易は,出生直後から授乳期において,あるいはヒトでは小児期までの間における経験によつて変わることが知られている(Ader, R. 1966)。たとえばラットやその他の動物で幼弱の時に,手で背中を撫てるなど種々の人工的処殿を加えることによつて,その動物の負荷ストレスに対する心理的反応は処置を加えなかつたものと異なることが明らかにされている(Levinc, S. 1962)。
Copyright © 1970, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.