今月の臨床 ホルモン療法—新しい動向を探る
治療のための機能テスト
2.視床下部—下垂体—副腎皮質系の新しい評価
田中 孝司
1
,
鳥海 正明
1
,
荻野 良郎
1
1帝京大学医学部第3内科
pp.1268-1274
発行日 1996年10月10日
Published Date 1996/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409902684
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視床下部—下垂体—副腎皮質系(hypothalamic—pituitary-adrenocortical axis:HPA系)は視床下部—下垂体—甲状腺系とともに個体の生命の維持に必須の内分泌系である.HPA系はcor—ticotropin-releasing hormone(CRH),adreno—corticotropin hormone(ACTH),cortisolの適切な分泌とnegative feedback機構によって調節されている.CRH, ACTH, cortisolのいずれかの分泌不全によって副腎皮質機能不全が,また慢性的過剰分泌ではCushing症候群を生じる.いずれも適切な治療によって健常人と同様のQOLを保証しうる点でその診断はきわめて重要である.
HPA系疾患の診断には,種々の機能検査とCT, MRIやシンチグラムなどの画像診断が用いられる.機能検査には分泌刺激試験と分泌抑制試験がある.前者にはCRH試験,インスリン低血糖試験,リジンバゾプレッシン(LVP)試験,メチラポン試験,ACTH試験がある.後者にはおもにデキサメサゾン抑制試験が用いられる.
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