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特集 脳のシンポジウム
主題—情動と自律神経・内分泌機能
臨床の場における情動の精神内分泌学的研究—血中副腎皮質ホルモンの日内リズムおよびストレス反応性を中心として
Psychoendocrinological Study of Emotion in Psychiatric Clinic: with Special Reference to the Circadian Rhythm of Plasmaadrenocortical Hormone
山下 格
1
Itaru Yamashita
1
1北海道大学医学部精神医学教室
1Department of Psychiatry and Neurology, Hokkaido University School of Medicine
pp.195-202
発行日 1970年4月25日
Published Date 1970/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903124
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はじめに
精神医学の臨床の場において,情動に関する精神生理学的な検索をすすめてゆくと,必然的に次の二つの現象が研究の対象となる。その一つは,不安,興奮などの情動の乱れに伴う二次的な生理的変化であり,いま一つは,そのような情動の乱れの背景にある精神疾患そのものに根ざす身体的変化である。すなわちある意味では,前者は心身相関の生理であり,後者は精神疾患の本態に関する追究であるということもできよう。しかもこの情動の乱れが,あらゆる精神疾患の中核となる症状である以上,後者の研究がまず前者についての十分な検討を前提として行なわれることはいうまでもない。
私どもの教室で十数年来つづけている「情動の精神生理学的研究」も,当然ながらこの二つの研究対象をもつたものである。その間に検索を試みた身体機能および研究成果については,ほかの機会にも発表したので,ここでは一切省略する。ただ一応の結論としていえることは,情動のうごきに伴つて思いがけないほど広範かつ大幅な身体機能の変化がみられること,しかし一方において,ある種の症例とくに精神分裂病荒廃例などにおいて,そのような心身相関の生理からは説明のつかない異常所見がしばしば見出されること,の2点である。今回はこのような知見をもとに,とくに副腎皮質機能の日内リズムを中心とし,さらにストレス反応性に関する最近の成績も加えて,報告したい。
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