第3回神経病理懇話会講演抄録
脳腫瘍—1.Hand-Schüller-Christian氏病の組織像を呈した単発性の頭蓋骨巨大細胞肉芽腫,他
都留 美都雄
1
,
兵田 賢三
1
1北大精神医学脳神経外科
pp.145-241
発行日 1963年1月25日
Published Date 1963/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431901953
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
Hand-Schüller-Christian氏病,Letterer-Siwe氏病およびEosinophilic Granulomaの三者は臨床的にそれぞれ異なつた症状,経過をとることから,従来独立した疾患であると考えられてきたし,また現在でもこれら疾患群の大多数の症例が,臨症症状,経過などから明らかに三者の中のいずれに属するかを決定することが可能である。
これに反し,1)病理組織学的には,その根本においてこれら三者の示す組織像はReticulogranuloma或いはReticuloendotheliosisと呼ばれるように組織球性の細胞の浸潤を主体とした病変である点,2)同一患者の異なつた部位より採取した組織像が,一つはHand-Schüller-Christian氏病の像を呈しているのに他部よりの標本ではEosinophilic Granulomaの組織像を呈していたり,また場合によつて標本採取の時期によつて異なつた像を示す場合もあるという点,3)臨床的にもまた三者の移行形のような経過をとる症例の報告が次第に増えてきているなどの理由から,これらの疾患は根本的には同一疾患であり,各々はその一亜形またはabortiveform,或いは同一疾患の異なつた時期に診断された病名に過ぎぬのではないかという説が最近では広く受け入れられている。
Copyright © 1963, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.