〈原著論文抄録〉
Histiocytosis Xの3型(Letterer-Siwe型,Hand-Schüller-Christian型,好酸球肉芽腫型)におけるLangerhans細胞顆粒について(電子顕微鏡的観察),他
伊藤 光政
1,2
1千葉大学医学部第2解剖学教室
2千葉大学医学部皮膚科学教室
pp.605,607
発行日 1970年6月1日
Published Date 1970/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412200674
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著者は,Letterer-Siwe病の皮膚病巣部におけるLangerhans細胞顆粒の存在を本誌23巻153〜161頁(1969)に報告したが,その後さらに,Letterer-Siwe病,Hand-Schuller Christian病および好酸球肉芽腫の各1例について,すなわち,histiocytosis Xとして総括されている3疾患のすべてに,同様の構造物をみたので,まとめて報告した。また,電顕的連続切片法により,Langerhans細胞顆粒の立体構造,特に細胞膜付着部における状態の復元を試みた。つぎに試料傾斜法により,Langerhans細胞顆粒の中心軸の微細構造を解析した。また,Langerhans細胞顆粒の本態に関する諸説を文献的に考察した。以上から,①Letterer-Siwe病,Hand-Schuller Christian病,好酸球肉芽腫をhistiocytosis Xという名のもとに,1つの疾患単位とみなすのは妥当である。②Langerhans細胞顆粒は,円盤状または茶碗状の立体構造をもち,細胞膜の彎入によつて形成される可能性が強い。③Langerhans細胞顆粒は,外側を2枚の単位膜に囲まれ,その内部に碁盤の目状に規則正しく配列した顆粒状物質をいれている。④間葉系由来の組織球と共通の顆粒をもつているので,表皮Langerhans細胞は,真皮から表皮内に遊走した組織球性の細胞である可能性が強い,と結論した。
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