Japanese
English
特集 肝脳疾患・Ⅱ
肝脳疾患とアミノ酸代謝
Hepatocerebral Syndrome and Animo Acid Metabolism
村上 精次
1
,
塩川 優一
1
Seiji Murakami
1
,
Yuichi Shiokawa
1
1順天堂大学第一内科
1Ist Department of Internal Medicine Juntendo University, School of Medicine
pp.472-481
発行日 1959年4月20日
Published Date 1959/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431901687
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序論
肝レンズ核変性症(Hepatolenticular degeneration)はふつう広義のウィルソン病とよばれている。本症は更に狭義のウィルソン病と仮性硬化症に大別することが出来る。肝レンズ核変性症と肝脳疾患特殊型(猪瀬)をあわせていわゆる肝脳疾患という一疾患群を形成する。その個々の疾患の特長,それらの鑑別,相互間の関係などは議論の多いところであり,なお不明の点も多いが,ここではすべてを一括して論ずることとする。本疾患群の本態については各方面より検索が行われて来たがGlazebrookは,はじめてウィルソン病の1症例の肝と脳に高度の銅沈着を認め,Mandelbrote等は尿中に大量の銅排泄を見た。これらの事実は直ちに多くの追試を生み確められた。一方UzmanおよびDenny-Brownは本症患者の尿中に正常人に比して多量のアミノ酸が排泄されていることを見出した。かくして銅代謝の異常とアミノ酸代謝異常の存在が知られると共にこれらの発生機序は何か,又ウイルソン病の原因として意義があるか,両代謝異常の相互間に関係があるかなどいくつかの問題を生じた。この点を追及するために今なお研究が続けられており,そのためウィルソン病の病態生理について多くの業績が報告されるに至つた。しかしなお未解決の点が多い現状である。以下文献に基づいてこの間題に関する諸家の業績を総説する。
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