特集 肝脳疾患・Ⅰ
肝脳疾患の臨床—特に所謂「特殊型」について
椿 忠雄
1,2
1東大脳研究所
2東大冲中内科
pp.241-248
発行日 1959年1月20日
Published Date 1959/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431901669
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1.諸言
私1)は昭和28年,冲中教授及び共同研究者と共に,所謂「肝脳疾患」に関し,特にその臨床所見について概説したが,その後5年間余りの間に,我におけるこの種疾患に関する研究は急速な発展を遂げた。しかし,これらの研究の多くはAmino酸代謝と銅代謝と中心とした生化学的方向に向けられたものであり,この外,病理学方面,脳波所見について,いくつかの新知見が加えられつつあるが,その一般臨床については殆んど新しい知見も見当らない。
私はこの間,内外の文献を渉猟し,又いくつかの症例を体験して来たが,それにつれ,当時の私の考えからかなり変転するに至つた。ここで再び本症に関する知見を,文献と照合しつつ述べることも無駄ではないと思い,本症の臨床的問題を思いつくままに述べて見たい。
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