Japanese
English
特集 脳腫瘍
寄生虫による所謂脳僞腫瘍
Cerebral Pseudotumor Caused by Parasites
浅野 芳登
1
Yoshinori Asano
1
1熊本大学第一外科
1First Surgical Division, Kumamoto University
pp.290-300
発行日 1957年10月5日
Published Date 1957/10/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431901594
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
人体寄生虫のうちで脳内に迷入寄生するものとしては肺吸虫(Paragonimus Westermanni),有鉤条虫の嚢虫(有鉤嚢虫,Cysticercus cellulosae),日本住血吸虫(Schistosoma japonicum),エヒノコックス条虫の幼虫(人体胞虫,Echinococcus hominis),旋毛虫(Trichina spiralis),マンソン孤虫(Sparganum Mansoni)の6種が挙げられる。日本ではこれらのうち肺吸虫と有鉤嚢虫の脳内寄生がかなり多数に報告されて来たが,最近では日本住血吸虫の脳内寄生もまたかなり多いことが知られるに至り,手術例の報告も次第に増加しつつある。しかるにエヒノコックス,旋毛虫,マンソン孤虫等の脳内寄生は日本では極めて稀で,現在まで手術例の報告は我国の文献では見当らないようである。
従つて日本に於て主として我々の日常臨床に問題となるのは脳肺吸虫症(Paragonimiasiscerebri),脳有鉤嚢虫症(Cysticercosis cerebri)及び脳日本住血吸虫症(Schistosomiasisjaponica cerebri)の3種であると言つてよかろう。
Copyright © 1957, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.