今月の主題 アレルギーの現況
いろいろなアレルゲン
寄生虫
石崎 達
1
Tatsushi ISHIZAKI
1
1独協医科大学・アレルギー内科
pp.1030-1032
発行日 1980年7月10日
Published Date 1980/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402216589
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寄生虫抗原の特性
寄生虫は大別して,単細胞生物の原虫類と,多細胞生物で高度に分化した体制をもち,消化器・神経・生殖器・運動のための筋組織をもち,立派に発達した防御作用も果している皮膚をもつ蠕虫類(線虫.吸虫・条虫)の2種類に分類される.原虫類でも各種に分化した機能をもつ付属物があり,核が中心になっている点で細菌・ウィルス類よりはるかに高等である.したがって人の体に寄生虫が侵入した場合の宿主・寄生虫関係は免疫学だけで取上げてみてもきわめて複雑である.体を構成する体成分・虫卵や幼虫・排出物などは各々別の蛋白成分をもち,それぞれの蛋白成分が抗原性をもつことが考えられるから,人の側の生体反応も複雑である.したがって免疫学の発達に伴い寄生虫の寄生による生体反応は見直されてきた.そして線虫類Nippostrongylus braziliensisなどは免疫研究のモデル感染生物に使用されている.
免疫学的には,寄生虫感染はCoombsの4型1)のすべてを発現させ,免疫抗体のすべてを産出させると考えられ,IgEを特別大量に生産するのはその特質の一分野である.
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