Japanese
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特集 脳腫瘍
脳腫瘍総論
Intracranial Tumors
中田 瑞穗
1
Mizuho Nakata
1
1新潟大学医学部脳研究所
1Department of Neurosurgery, Niigata University Hospital. Neurological Institute, Niigata University School of Medicine.
pp.191-202
発行日 1957年10月5日
Published Date 1957/10/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431901588
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脳腫瘍のことを書く度に断ることであるが,便宜上習慣上脳腫瘍と呼びはするものの,正しくは頸蓋内腫瘍というべきもので,脳そのものから出来る腫瘍のみを取扱うのでなく,私どもは脳以外の組織から生じた腫瘍でも,否真正腫瘍でないもの,たとえば肉芽腫とか寄生虫嚢腫とか血腫,膿瘍等までも臨床的には頭藷内腫瘍という名称のうちに含ませているのである。
脳腫瘍が外科手術によりその剔出を成功した第1例(Rickman Godlee,1884年)から漸くというべきか,既にといつた方がよいのか,73年を経過した。その発達の歴史については私は幾度も述べたので省くが,この73年の間に,現在では世界のどこでも,もう常識的に脳腫瘍と診断されれば神経外科がその取扱いに当るものとなつてしまいその手術され,或は現に手術されつつある総数は夥しい数にのぼるてあろう。脳腫瘍は勿論病理学的見地から極めて興味深い研究対衆である。又神経学としても重要な疾患である。しかし学問の発達と,先人の撓みなき努力の結果,これが,脳外科の対象となり,遂にこの難病の数多くが救われるという実際の価値を得るに至つたことは,人類にとつて何ものにも換え難い幸福である。
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