Japanese
English
脳の生理に関するシンポジウム 化学的現象を中心に
下等動物脳の呼吸代謝
Respiratory Metabolism of Brain Tissues of Catfish, Parasilus asotus
高橋 泰常
1
Taizyo Takahashi
1
1群馬大学生化学教室
1Dept. of Biochemistry, School of Medicine, Gunma Univ.
pp.133-138
発行日 1957年4月1日
Published Date 1957/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431901579
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私がお話しますことは,生理学とは甚だかけはなれたことがらでありますが,生化学に属する人間が,脳をこんな立場からも研究していると云うことをおつたえしたいと思います。御存知のように,哺乳動物の脳の代謝の研究は,最近さかんになつて参りました。多くの代謝系があきらかにされて参りましたが,代謝系は大変複雑なもので,問題は,数多い物質変化があるなかで,何が一体脳と云うものの働らきと連関をもつているか,が現在,生化学的立場にたつ研究者の目標であります。さき程話された塚田さんの仕事も,それを意図されているものに外ありませんが,私は,沢山の物質変化のなかで何が本質的なものであるか,それを探ることは大変なことでありますが,少くとも,それに近づく目的で,比較生化学的立場をとつたのであります。比較生化学とは,何が基本の物質代謝系として存在するか,そして生物の進化とは,それに一体何が新らたに加わつたものかと云う問題を考察する立場であります。脳の代謝系においても,糖代謝,蛋白質乃至アミノ酸代謝などあるなかで,哺乳動物脳のそれは,下等動物脳のそれに比して,どのような点に優位を占めているか,を知ることは,哺乳動物脳の生理について考えるための大きな基盤を与えるものであろうと思います。
以上のような考えをもつて,とりあげた下等動物はまず魚類であります。
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