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はじめに
免疫系で産生されたサイトカインは,神経系への情報伝達物質として脳に作用し,発熱や徐波睡眠,摂食抑制など様々な中枢神経反応を惹起し,一方,神経系は,自律神経系および神経内分泌系を介して免疫機能を修飾する。このような二つの系の情報のクロストークによるシステムは,「脳・免疫系連関」という概念でとらえられている。
脳から免疫系への情報伝達経路として,近年その機能が次第に明らかになってきたのが,免疫臓器を支配する交感神経系である。リンパ球や好中球,およびマクロファージなどの免疫担当細胞には,β2およびα2アドレナリン受容体が存在する。一方,解剖学的には,たとえば脾臓において,チロシンハイドロキシラーゼ陽性の交感神経終末が,白脾髄のTリンパ球と直接接触していることが明らかになった2)。ところが,交感神経系の神経伝達物質であるノルアドレナリン(NA)の免疫機能に対する作用については,β2受容体を介した細胞内cAMPの上昇が,ナチュラルキラー(NK)細胞や細胞傷害性T細胞などのエフェクター細胞の機能を抑制する一方で,NAの濃度や作用時期によっては,抗体産生能を促進することも示されている17)。また,マウスのTh1細胞株ではβ2受容体を介してIL-2産生や細胞増殖が抑制されるが,Th2細胞株ではIL-4産生がβ2アゴニスト刺激によって影響をうけない22)などのTh依存性があり,NAの免疫機能に対する作用は複雑である8)。
Much evidence has shown that the sympathetic nervous system constitutes a communication channel that mediates the central modulation of peripheral immunity. It has been demonstrated that the intracerebroventricular (ICV) administration of interferon-α (IFN-α ) and interleukin-1β(IL-1β) suppresses splenic natural killer (NK) cell activity in rats, at least in part, through the sympathetic innervation to the spleen.
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