シリーズ最新医学講座 臓器移植・1
移植と免疫応答
清野 研一郎
1
Kenichiro SEINO
1
1聖マリアンナ医科大学難病治療研究センター
キーワード:
Allogenic
,
サイトカイン
,
拒絶反応
,
免疫寛容
Keyword:
Allogenic
,
サイトカイン
,
拒絶反応
,
免疫寛容
pp.105-111
発行日 2007年1月15日
Published Date 2007/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542100409
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はじめに
臓器移植とは,各種臓器の高度な機能低下,すなわち臓器不全により生命の危機もしくは著しいQOLの低下に瀕した患者を救う効果的かつ最終的な治療方法であり,不全臓器をドナーから提供された臓器で置換し機能回復を図る.現在臨床で行われているのはヒトからヒトという同じ種間で行われる同種移植である.通常,同種異系すなわち他人の臓器を移植されると,レシピエントの免疫系がそれを異物と認識することで強い免疫応答,すなわち拒絶反応が引き起こされる.よって,一卵性双生児間の移植を除き,適正な免疫抑制剤の使用が同種臓器移植にとっては必要不可欠である.
本稿ではこれら同種異系臓器移植後に起こる免疫応答の基礎をまず概説する.さらに,拒絶反応を乗り越え免疫抑制剤なしにも移植臓器が生着する現象,すなわち免疫寛容のメカニズムと研究の最前線を解説し,臓器移植後免疫抑制療法に関する今後の展望についても触れたいと思う.
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